ご報告

2022年度 経団連自然保護基金 プロジェクト

UNIMAS大学と共同での動植物の生態調査をもとに

「コミュニティ・フォレストのエコ・ツーリズム開発」

Develop Eco-Tourism at Sabal area and its surrounding

through ecological survey of flora & fauna with UNIMAS and the native.

 

サバル近辺の森林のカメラトラプの設置作業(2022年86日~10日)

 

前回の調査した各箇所へ、各ポイント毎に、機材は村人に運んでもらい、カメラトラップを設置してきました。

マレーシアとインドネシアの山稜の国境の上下(北南)を見て頂くと、緑の濃さが歴然です。

上(北)側のマレーシア側は、パン・ボルネオ・ハイウェイの道路を中心に、耕作地や開墾地、農地などが明確にわかりますが、濃い緑がある部分は、今も森林で、当団体の基本となる活動も、少しずつ、その緑の濃さが増えるように毎年約15haの植林をしているものの、まだまだ、先は長いのが正直な所です。

 

ただ、山稜の国境の下側(南側-インドネシア領)をご覧頂くと、林道が全くない未開の広大な熱帯雨林が広がります。この地域は、インドネシア側(通称、カリマンタン-ボルネオ島の別名)の大都市のポンティアナという赤道直下の街から見ると、この国境の山脈は、最奥地にあたるため、人がほとんど住んでおらず、手付かずの原生林が広がっており、ここに、オランウータンやテナガザルやオオサイチョウが生息するのは確認されていますので、マレーシア側でも、森林再生が進めば、これらの動物だけでなく、様々な知られざる希少動物の生息環境が、国境を超えて、広がれることとなります。

 

また、インドネシア側の山脈に生息する動物たちも、マレーシア側の果物のシーズンになると、越境してきたりもするので、数年をサイクルとするゆるやかな、そしてかすかな季節の移り変わりで、動物たちも移動しますので、長い期間、モニターをする必要があります。

カメラトラップを設置作業の風景

 

まずは、ニャリタ村側の森林に入り、下見の際の記録を元に、GPSでそのポイントに向かいました。

ただ、その情報で近くへ行けるものの、その設置予定の木に速やかに辿り着くのは、困難でしたが、先住民族の村人が、たやすく、発見して知らせてくれました。

実際は、村人は、その方角も、ある程度は把握しているようでしたが、データを頼りに、自分達である程度まで行くようにしました。

 

     

 ポイント毎に、データや写真を元に、設置していきます。

 

     

カメラトラップが取れないようにしっかりするのは、当然ですが、そのカメラのレンズの向きなども、動物の通る獣道に向け、そちら側に、細い低木の葉が沢山ない所を向けないと、その葉の揺れが、センサーが認識して、必要でない場合ににも撮影します。また、逆光にならないようにしないと、昼間にセンサーが作動したら、真っ白な写真になってしまいます。

 

サバル村の南側の森林の予定地の方も同様の作業をします。

       

こちらは、インドネシアと国境の山脈を跨ぐ、クリンカン山脈の麓ですので、手付かずの熱帯雨林の原生林の広がるインドネシア側に生息する動物たちも、時期や果物状況次第で、こちら側に来ることも想定して、日常的に見れる動物でないものも期待されます。

  

しっかりと、カメラトラップを設置しないといけません。木の上に、珍しい鳥(サイチョウと思われる)がいたようで、学生が見上げて、写真に納めようとしましたが、断念しました。カメラトラップが、想定外の希少な動物をとらえる事を期待します。

    

 

List of coordinates which are known to be the animal crossing pathways (抜粋-24箇所設置の内3箇所の情報)

 

Node  Time              Latitude          Longitude      Elevation       Tree Species

 

  24.     1:48:25 PM     1.15XX78        110.94XX78        40m             Vitex Pinnata

   9.      2:34:38 PM     1.13XX89        110.94XX33        60m             Shorea Virescens

   1.      3:52:13 PM     1.13XX33        110.95XX78        50m             Hevea brasiliensis

 

**緯度経度の中2桁は、「XX」表記にしております。最後の項目のTree Speciesは、設置した木の樹種名です。

 

空いた時間には、村人に、哺乳動物や鳥類の情報収集をしました。一度に、全員に聞くのも良いのですが、大人数の集まりでは、民族的な性質上、発言を躊躇する人が多いので、真髄を得る事が難しいですので、家族や親せきの単位で、小さな単位で、少しづつ地道に聞いていくと、意外と、いろんな話が出てきますし、珍しいオランウータンやテナガザル、サイチョウなどは、その小さな単位のお茶の時に出てきたものですので、出来るだけ多くの単位の聞き込みが出来ると、より多くの小さな情報が出てくる思います。

 

  

これから、予想では、10~11月頃に結実しそうな野生の果樹が森林内に沢山見受けましたので、野生の果物のシーズンは、そうでない時期に比べ、はるかに鳥類や野生動物達の活動が活発となりますので、その頃まで、カメラトラップを放置しておき、11~12月頃に、データを確認するために、調査に行く予定です。

 

その後、雨期となりますが、今年は、7‐8月の乾季が、ほとんど毎日雨が降っていましたので(雨期の雨の時間ほど長くはないものの)、雨の無い乾燥が3日間続いたことのない珍しい乾季でしたので、逆に、今年の雨季(11月~2月)は、雨が少ない可能性も多く、自然界に何がしらの影響があり、鳥類や野生動物たちも興味深い行動をするかもしれませんので、雨期の終わりかけの2月に、第2回目のデータ確認をする予定です。

 

希少な野生動物の決定的瞬間を、カメラトラップが記録する事を期待しています。

 

実際、乾季は、南西モンスーンの影響で、インドネシア側からの風がくる関係で、北部のマレーシア(サラワク州側)は、南シナ海上の海風による海からの湿度を内陸に来ないように抑え込むために、雨が少なくなり、雨季は、北西モンスーンで、その海からの湿度が内陸に送り込み、雨が多くなると言われています。

 

2022年 経団連自然環保護基金 「コミュニティ・フォレストのエコ・ツーリズム開発」 カメラトラップの設置作業

期間:2022年86日86

場所:SABAL村/NYALITAK村

責任者: Dr. Qammil 

UNIMAS大学:1. Mr. Mohammad Aizuddin 2 . Ms. Siti Zahidah  3. Ms. Khairunnisha  4. Ms. Glathytheia  5. Mr. Mod Azhar

サバル地区:

Mr. Ragai  / Mr. Bagong / Mr. Winstin (Sabal村) / Mr. Bill / Mr. Robin   (Nyalitak村)他

NPO担当:鍋嶋 / Alex Then

 

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