ご報告

2022年度 経団連自然保護基金 プロジェクト

UNIMAS大学と共同での動植物の生態調査をもとに

「コミュニティ・フォレストのエコ・ツーリズム開発」

Develop Eco-Tourism at Sabal area and its surrounding

through ecological survey of flora & fauna with UNIMAS and the native.

 

サバル近辺の森林のカメラトラップのデータ確認と聞込み調査(2022年11月10日~16日)

 

今回から、データを回収しながら、先住民族の人々の感覚と目の情報も含めて、動物の生態調査を本格的に始めます。

まずは、カメラトラップのデータを全て確認して、データがあるものを全てコンピューターにコピーをして確認します。、

 

  

 

カメラ設置場所の周辺を、先住民族の人々に見てもらい、獣道や動物の足跡があれば、そのような対象物が画角内にきちんと入るように調整もしました。

  

 

今回、前回まで参加されていない先住民族の人もいるので、別の人の視点も交えて、カメラの設置場所を大胆に変更したりという場所も数か所ありました。

  

 

各所で、カメラトラップから、メモリーカードをコンピューターに差し込んで、確認していきます。データがあると、それは何かが写っている事。

ドキドキしますが、一般的にどこでもいる動物は、データとして残すのみにして、希少価値が高い動物が写っていた場合は、その周辺を重点的に調査する事を予定しています。

  

 

大まかに2箇所ですが、それぞれ、方々にカメラを設置していますので、谷あり、崖あり、川ありと、データ回収も大変な作業です。

  

 

先住民族の人々と相談しながら、カメラの位置なども再調整していきます。

   

 

先住民族と、UNIMAS大学の学術チーム、伝統的な知識と科学的な知識が、上手く機能する事を期待します。

  

 

このカメラトラップが、データがあるサインが。早速、コンピューターにメモリカードを映して確認すると。少し珍しい動物が写っていました。

その詳細は、下記のUNIMAS大学の学術チームのレポートをご覧ください。

   

 

こちらは、今回、先住民族の人々が、教えてくれた、動物の足跡です。何の足跡でしょう。答えは一番下にあります。

  

 

 

 

UNIMAS大学の学術チームからの報告書の翻訳抜粋

 

クリンカン山脈側は、Minjjat氏によると、果樹全体の数の多さとその種の多様性が多く、その種の多様性が動物を引き寄せる要因であることが明らかになった。

いくつかの動物の通り道は、34日前に観察された最新の通り道であると推定され、調査の動物の足跡がいくつか確認された。

ボルネオヒゲイノシシ(Sus Barbatus)、マレーヤマアラシ(Hystrix brachyura)、マメジカ(Tragulus kanchil)と思われる。

マメジカの足跡は、ヒゲイノシシよりも丸みを帯びた左右対称の足跡で、硬い地面でも、その足跡はっきりと確認できる。

ヒゲイノシシの足跡は、硬い地面の上でも また、泥が擦れたような跡があり、それがヒゲイノシシの足跡であることがわかった。

 

泥は、野生動物の存在を説明する重要な判断材料となる。Lanyau氏によれば、泥の地帯は、イノシシの集団にとって好ましい場所であることを経験から知っており、泥での水浴びの場所となっているとの事。また、サトウヤシ(Arenga pinnata)や、マンゴスチンの野生種であるコバノカンジス(Garcinia parvifolia)など、フタバガキ林の中でも珍しい果樹の種が多く、多様性が高く、現在結実していることが、野生動物が集まりやすい傾向のポイントとなる。

 

8月の設置した時期と比べると、結実した果実が多い事から、カメラトラップの設置を見直し、現在の果樹の状況を判断して、動物の通り道となる可能性のある場所と、フィールドでの動物の活動に関する行動の予想に基づいて、一部、変更しました。ヒゲイノシシの泥かき活動など、動物がフィールドで活動する際の特徴的な行動や、動物が通る可能性のある経路を厳密に特定した上で変更した。

 

ニャリタ村近隣の森では、SDカードからすべてのデータをPCに転送し、フォーマットした空のカードに交換しました。一部のカメラは、より見やすくするために、新しい座標や角度に変更されました。また、低木が動いて、遮られたカメラもあったため、新しい座標や角度に変更しました。

 

以下は、再配置/再設置されたカメラの新しい座標を記録したものです。

番号  時刻  緯度      経度     標高   樹種(現地名)

   1 10:56   1°8'X6"   110°57'X2"  50m      Kandis

19 12:36   1°8'X1"   110°56'X5"  40m      Tekalung

23 13:10   1°8'X8"   110°56'X3"  40m       Dugoi

**樹種はカメラが設置されている場所の樹木で、イバン語の呼び名を示す。

すべてのカメラは24時間稼働しており、故障や破損の場合を除き、監視を中断することはありません。

 

強風や大雨による木の葉や枝を捉えたカメラもありましたが、マレーヤマアラシ、ヤマネコの一種などが確認されていましたが、木陰の背後などの状況がありましたので、このような望ましくない映像が撮影されることを避けるため、カメラの再設置と再配置が行いました。

 

カメラトラップから撮影されたスカンクアナグマ(Mydaus javanensis)の静止画。

 

マレーマアラシ(Hystrix brachyura)の静止画。これは、フィールド調査中にも、目視で確認された。

 

ームシベット(ジャコウネコ/Paradoxurus hermaphroditus)の静止画

 

ヤマネコは、動画設定のカメラで確認されたものの、低木の裏側なので、鮮明な映像ではないものの、豹柄風の模様や大きさから、マーブルヤマネコ(Pardofelis marmorata)か、ベンガルヤマネコ(Prionailurus bengalensis)だと思われる。ボルネオ島に生息するヤマネコの種類は、5種類で、マレーヤマネコ(Prionailurus planiceps)、ボルネオヤマネコ(Catopuma badia)は、模様の無い単色で、今回カメラトラップが捉えた種類とは異なると思われる。特に、ボルネオヤマネコは、超希少種で、生態もほとんどわかっていないが、今後、カメラトラップが捉える事も可能性としてゼロではない。一番大きいスンダウンピョウ(Neofelis diardi)は、豹柄の模様で、マーブルヤマネコやベンガルヤマネコの模様と似ているものの、体格が他の4種類に比べて、格段に大きいので、この画像の者は異なると思われる。ただ、先住民族による内密の情報で、足跡が確認されている。今後、より鮮明な画像か映像が撮れる事で、種を同定する予定。

スカンクアナグマとヤマネコは、先日の村人の聞き込み調査で、出てこなかった動物。村人も見ていないかもしれない動物の確認に期待が膨らみます。

 

ニャリタ村周辺では、カメラトラップ設置場所以外の森を調査したら、いくつかの動物の存在を示すサインが確認された。

ホエジカ(Muntiacus muntjak)とブタオザル(Macaca nemestrina)の足跡が明確に確認された。

ブタオザルに関しては、森の調査中の際に、その群れを目視で遠くに確認できたものの、撮影可能な場所へ近づくと、すぐさま、逃げてしまい、撮影は出来ませんでした。Ragai氏によると、ブタオザルは、人間の臭いを嗅ぎつけるとすぐ逃げ出すとのこと。

 

マレーヤマアラシ(Hystrix brachyura)の巣穴も観察されました。Lanyau氏の体験によると、ヤマアラシは穴を掘るそうだ。

穴を掘って隠れ家とし、夜間に出てきて餌を食べる。夜行性で、昼間より夜間の方が視力が良いという草食動物の性質が大きく関係しています。

 

村人への聞き取り調査

フィールドワークの空き時間や夜、村人への聞き取り調査も行った。今回は、目新しい情報はなかったので、今後の意識改革のための保全に関する話をした。

その際に、サバル地区に生息する野生動物とその生息地の保全・維持の重要性についても、地元村民や近隣のコミュニティと話しをし、森林から得られる豊かな自然資源は、再生不可能なものを強調して、野生動物に対する意識の変革を試みた。

Lanyau氏によると、村人の中には、無作法に、森で狩猟をする人もいて、野生動物の種分布に影響を与えているとの事。

野生動物の種の分布と保護計画には、種の分布と生息地の詳細な情報が重要ですが、多くの種の分布に関する情報がないため、希少種なども含めて、保護活動の妨げになっている。狩猟活動をコントロールすることで、動物種の分布を守っていく事が出来るかもしれません。

その結果、その地域に存在する種を保護することができて、ツーリズムによって、村人の子孫が半永久的に、有益な森林資源となりうるものである。

フィールドワークの間、野生動物とその生息地を保護することによって得られる利点と利益を強調して、村人の意識変革を促しています。

 

~~以上、報告書からの抜粋 

 

最後になりますが、元々、いろんな希少野生動物は生息しているのは、先住民族の村人の聞き込み調査で把握できているものの、実際に、カメラトラップに写っていたり、足跡などの、実際の証拠が見えてくると、達成感が異なります。まだまだ、これから、雨期となり、森の果物の段階的に実ってきますので、面白い動物が見つかる事に期待に胸を膨らませます。

 

 

 

2022年 経団連自然環保護基金 「コミュニティ・フォレストのエコ・ツーリズム開発」 カメラトラップの設置場所調査と聞込み調査

期間:2022年11月10~11月16日

場所:SABAL村/NYALITAK村

責任者: Dr. Qammil 

UNIMAS大学:

1. Mr. Mohammad Aizuddin 2 . Ms. Siti Zahidah  3. Ms. Khairunnisha  4. Mr. Awang Ahmad 

5. Mr. Mohd Dasuki Wafiq 6. Mr. Mior Mohamed Zuhayr 7. Ms.  Nur Sabrina

サバル地区:

Mr. Ragai  / Mr.Minjat / Mr. Lanyau / Mr. Ragai (Sabal村)  / Mr. Bill / Mr. Robin   (Nyalitak村)他

NPO担当:鍋嶋 / Alex Then

 

<足跡の回答>

 

 ①マレーヤマアラシ  ②ブタオザル  ③ヒゲイノシシ

 

 

 

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