ご報告
2024年度 経団連自然保護基金 プロジェクト
UNIMAS大学と共同での動植物の生態調査をもとに
「コミュニティ・フォレストのエコ・ツーリズム開発」
Develop Eco-Tourism at Sabal area and its surrounding
through ecological survey of flora & fauna with UNIMAS and the native.
SK Nyelitak小学校の児童とNyelitak村の村人を招待しての
UNIMAS大学での展示報告会
(2025年4月9日)
2025年1月後半に主催したUNIMAS大学での展示会の際に、このサバル地区の村々で行ってきたプロジェクトの成果や、エコツーリズムの考え方を、プロジェクトの中心となった村のNyelitak村の村人や、環境教育に参加してくれたSk Nyelitak小学校の児童や教員の方を、大学に招待して、是非とも共有したいとの意見が、UNIMAS大学の学術チームより発案されました。
特に、学術チームの大学院生のリーダーでもある、Glath女史は、先住民族で、Nyelitak村と同じような環境の村に生まれ育ったものの、良い縁に恵まれて(それ相応の努力をされたと思いますが)、UNIMAS大学の大学院に通う事が出来ていますが、サラワク州の僻地の先住民族の村のほとんどの子供たちは、そのような縁やチャンスに出会える事は非常に限られるので、是非とも、大学に来てもらい、知見を広めてほしいという思いからの発案でした。
このような展示報告会が、3年間のプロジェクトに参加した学生側より発案されたことは、このプロジェクトの締めくくりとしては、双方にとって、とても良い機会となりました。
UNIMAS大学の資源科学技術学部の会議やイベント用のInspire Roomで、Nyelitak村の村人の代表者、Sk Nyelitak小学校の児童30名と引率教員5名、SaraCarbon社の代表、Tulen International社の代表、そして、Dr. Qammil 氏率いるUNIMAS大学の学術チーム、合計75名ほどの集いが出来ました。
まずは、3年間の活動をまとめた動画を披露してくれました。一部、数日前に、Nyelitak村を訪問して撮影してくれたDroneの映像なども挿入されていましたが、3年前の活動の写真などもあり、いろんなことが思い起こされ、心にしみる瞬間でした。
動画上映の際は、見入ってしまいましたので、写真撮影を失念してしまいましたので、その動画内の、一部のスクリーンショットでご紹介しますが、このページの下の方に、動画を入れておきます。
Nyelitak村の空撮映像(展示報告会の前日撮影)と、Jaong村の滝の下流の川で打合せ中。
2022年度の動物調査の際の道中、Wong Jaban Hiking Expedition2024のメイン会場の場所(下見時)。
続いては、UNIMAS大学の大学院生でも1番の年長で、この3年間の陰の立役者として、裏から活躍してくれた、Awan Ahamad Zahid (Acong)氏が、この3年間のプログラムの概略や、ボルネオの動物や植物を分野ごとに、さらには、Nyelitak村などでの調査と紐づけながら、説明してくれました。Acong氏は、実は、大学院の最終年の修士論文を書くのみということで、既に、実家の村(クチンからほど遠い)に戻っていたのですが、この会のために、遠路、戻ってきていただき、参加してくれたというのが、後で判明しました。ありがたい限りです。
纏めとして、Dr. Qammil 講師が、小学生にでも分かりやすい説明で、エコツーリズムの根底に必要なもの、村として必要なもの、継続していくためには、というような、Nyelitak村が、今後、ツーリズムを展開していく上で重要なポイントを共有してもらいました。Nyelitak村の村長のAzis氏は、具体的に理解できたようで、同時に、課題も明確になったので、逆に、不安も増したようでした。
Acong氏と、Dr. Qammil講師の話の後に、それぞれ、児童からの質問を尋ねましたら、沢山の質問があり、お二人ともたじたじでした。
半分以上の児童が質問をしてくれましたが、2回の環境教育や、Buri山でやってきたプロジェクトの事、そして今回のお二人の講話、それぞれを、明確に理解しての質問でした。
最後に、前回のBuri山での環境教育プログラムの証明書を、Sk Nyelitak小学校のSiti 教頭先生が受理して頂きました。
また、この3年間の学術調査や、エコツーリズム開発のいくつものプログラムをまとめた、リーフレットと言うより、もはや本ですが、仮印刷した2部を、1部は、当団体の酒井理事長へ、もう1部は、Nyelitak村の村長のAzis氏に、進呈してくれました。村でのエコツーリズムの展開に、一つの指標として、有効利用してくれると思います。
昼食をはさんで、午後のプログラムは、当学術チームの植物学のラボを見学です。今回の醍醐味と言って過言でないでしょう。
何千種類の植物の標本が保管されていて、当然、数えきれないほどの新種のものもあります。
まずは、Dr. Qammil講師に、専門である植物分類学の概略を分かりやすくしてくれました。
そして、ロッカーの前では、Glath女史が、乾燥保管の植物の標本を見せて、どのように保管するかの説明をしてくれました。
そして、植物のものによっては、希釈したエチルアルコールで、瓶に保存するのが適しているものもあり、それは、大学院生の1名がその作り方を説明してくれました。
もう一つの保存方法は、乾燥させる方法で、専用の乾燥機械で、60度で、1週間ほど置くと、種子などで、長期保存する場合に使用します。
また、製図用のテーブルは、その植物のイラストを描くのに使いますが、Dr. Qammil講師の、植物のデッサンは、秀逸との噂です。
さて、4班に分かれて、実際に児童につくってもらいました。
エチルアルコールのものは、取扱注意ですので、各班で、大学院生より細かく説明してもらいました。
まずは、標本を採集してすぐ、新聞紙ではさむ作業に挑戦してもらいました。
この新聞紙で挟むのをきちんとしていないと、標本をだめにしてしまいます。
Dr. Qammil講師も、各班を回りながら、植物標本作りの楽しさを共有してくれています。
皆、楽しそうに、標本を作っています。将来の植物学者が、この児童たちの中から出るかもです。
Nyelitak村の村人にもやってもらいました。こういう作業は、もしかしたら、副業の可能性を秘めているかもしれません。
最後に、みんなに、ボトル詰めの標本を作ってもらい、全員に、お土産として進呈されました。
中々、思い出深いお土産ですね。
最後に、Dr. Qammil講師から、挨拶があり、その後、小学校代表の男子と女子に、一言づつ感想を述べてもらいました。
それぞれが、それぞれの思いを感じ、非常に感銘を受けたのが、ひしひしと伝わってくる内容でした。
実は、SK Nyelitak小学校の引率の教員の1名は、UNIMAS大学の同学部卒業の方で、この専攻とは異なる動物学の方でしたので、さらに滞在を延長して、動物学博物館を訪問出来ました。
動物学の専門家が、丁寧に説明をしてくれました。
原猿類のスローロリスや、メガネザルの標本、これは、児童は村で何度か目撃したことのある子もいました。ナナフシは、いろいろいますね。
村にも、いくつかの種類がいるようです。
蝶類は、村でも、アカエリトリバネアゲハを見たことのある児童もいましたが、右端上の地味目のメスは、見たことがないようでした。
ビワハゴロモも、各種標本、かなり種類がいるのに驚きですが、珍虫のバイオリンムシは、見たころある児童はいませんでした。
みんな、それぞれ、興味深く見学していました。やはり、植物より、動物の方が面白いのでしょうか?
ホルマリン漬けにされた、爬虫類や両生類の標本ですが、これは、意外と、児童は、さらっと見た感じでした。少しわかりにくかったのでしょうし、少し生々しかったかもしれません。
世界で2番目に小さいカエルのボルネオヒメアマガエルは、ツボウツボカズラ(N. ampullaria)と共生しているので、この村にも沢山、ツボウツボカズラがあるので、このカエルは、探せばいる気がします。
意外と、植物ラボでの、標本作成よりも、この動物学博物館の方が、児童は楽しそうにしていました。
かなり予定を超えてしまいましたが、夕方、UNIMAS大学を後にして、Nyelitak村へ1時間30分くらい掛けて戻られました。
今回、最後の行事として、この報告展示会を追加ですることができて、本当に良かったと思います。
現地の小学生にとって、自分の村にくるお兄さんやお姉さんが、本当は、何をしているかという事は、あまり具体的にはわかってなかぅたと思いますが、今回の訪問で、明確になったかと思いますし、また、この大学を訪問したことが刺激になった事で、きっと、将来、彼らの中から、UNIMAS大学に進学する人も出てくるかもしれません。
また、自分の村やその周りの村が、その取扱いによっては、宝にもなるという事が、児童だけでなく、村人の心にも、刻まれたことと思います。
展示報告会で上映された、3年間のプロジェクトをまとめた動画は、こちらです。
下記の画像上の
をクリックして頂けると動画がご覧いただけます(音声がありますので、音量にご注意ください)。
2024年 経団連自然環保護基金 「コミュニティ・フォレストのエコ・ツーリズム開発」
SK Nyelitak 小学校の児童とNyelitak村の村人を招待してのUNIMAS大学での展示報告会
期間:2025年4月9日
場所:UNIMAS大学資源科学技術学部 Inpire Room/植物学ラボ/動物学博物館
責任者: Dr. Qammil Muzzammil
UNIMAS大学
1.Ms. Glathycthcia 2. Mr. Achong 3. Ms. Esther 他 エコツーリズム専攻の大学生8名(計11名)その他の大学関係者10名
Nyelitak村の村人の代表10名
SK Nyelitak小学校の児童30名と引率教員5名
SaraCarbon社の代表5名、
Tulen International社の代表2名
NPO担当:酒井/鍋嶋
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