ご報告

2024年度 経団連自然保護基金 プロジェクト

UNIMAS大学と共同での動植物の生態調査をもとに

「コミュニティ・フォレストのエコ・ツーリズム開発」

Develop Eco-Tourism at Sabal area and its surrounding

through ecological survey of flora & fauna with UNIMAS and the native.

 

Nyelitak村のBuri山の展望小屋の建設

期間:2024年10月25日~1220

 

UNIMAS大学と共同での「コミュニティフォレストのエコ・ツーリズム開発」のNyelitak村のBuri山でのハイキング道の要となる、展望小屋を建設しました。UNIMAS大学のエコツーリズム専攻の学生や大学院生、その講師であるDr. Qammil氏と、度重なる調査から、少し高台にある場所までのハイキング道(中級度)の最終地点に、展望小屋の建設を計画し、村人の手によって建設されました。

 

1.サバル地区Nyelitak村の村長と村人でのBuri山のハイキング道の確定と展望小屋建設場所の測量など

日時、場所 2024年10月25日 サバル地区Nyelitak村Buri山

まずは、初級者コースの川に向かうハイキング道を再確認しました。川に着いた後、同じ道を戻らずに、川沿いに進み周回できるコースのハイキング道(一周2km)を実際に歩いてみました。川までは、歩きやすかったですが、川からの戻る新しいルートは、あまり村人も通っている形跡もないので、獣道を歩きやすく多少整備し、矢印などの目印を設置予定です。

  

途中のハイキング道を、目的地と反対側に進むと、奇妙な石があるのですが、これが、サラワクの近代史の中では、そこまで紹介されていないのですが、イバン族の中では有名な、伝説のイバン族の戦士のIjau Berani (勇敢なイジャウさんという意味)の足跡だそうです。この方の奥さんも力持ちで、畑行く時は、鉄製の杖(すごく重い)で歩いていたそうです。

  

この村には、あまりにも荒々しい彼に、その力を抑えるよう、2代目の白人王チャールズ・ブルック氏が贈った大砲があり、当初、このBuri山の反対側の海側の村に置いてあったのですが、彼の亡き後、この大砲を移動させようとした村人たちが不慮の死を遂げたりという事などもあって、その後、紆余曲折もありながら、お祓いの祈祷をして、最終的には、今の位置(Nyelitak小学校の校庭の端)に移されました。この大砲は、水害の守り神にもなっているようで、元々、洪水や氾濫が多かったこのNyelitak村でも、この大砲より上には増水は、絶対しないそうです。以前、この大砲が、山の麓にあった時は(Nyelitak村は、そこより低い位置)、Nyelitak村は、常時、水害にあっていたそうです。

 

次に、中級者向けのハイキング道(片道2㎞弱/往復4㎞弱)では、まずは、展望小屋の建設予定地の高台まで歩きました。UNIMAS大学の調査時や前回の下見の際に通常通る高台直前の道は、かなり急斜面で、雨の後は危険ですので、展望小屋の高台へのアクセスは、迂回して、山側から廻り込んで到達できるハイキング道を整備する事にしました。

  

展望小屋は、12X12フィート(360x360cm)の敷地 で、イバン族のロングハウスでいうTanju(ベランダ)様式で、簡易屋根を8フィート(240cm)の高さに設置することで、計画しました。木々に覆われ、遠くに山稜の見える写真が、実際には、もう少し、視界が開かれて、真下に森林が、遠くに、インドネシアとの国境であるKelingkang山脈が一望出来ます。ただ、この両脇の木は、灌木のため、伐り払いますので、かなり広々と展望できると思います。すぐそばの森にドリアンの木が花を咲かせていましたが、肉眼でも見える距離ですので、その花の時期には、オオコウモリや野鳥などが集まるのが見れるかと思います。

  

 

Nyelitak村の村長と村人と相談した事項を参考に立体図を作成しましたが、出来る事なら、屋根は、トタン屋根をベースにしながらも、ヤシの葉で葺いた屋根を設置したいのですが、かなり手間と費用がかかるので、要検討です。

 

2. サバル地区Nyelitak村の村長と村人でのBuri山の展望小屋建設作業- 用地の整備と基礎資材の運搬

 日時、場所 2024年11月11日~15日 サバル地区Nyelitak村Buri山

まずは、展望小屋の周辺の低木や灌木を伐って、整備をしました。また、柱や床材になる木材も、片道約2㎞の森林を歩いて運んできました。この資材の運搬が一番大変な作業だったようです。

  

正面の低木や灌木を伐りましたので、眺めが一気に広がりました。展望小屋から眺める風景は、このような景色です。

 

 

3. サバル地区Nyelitak村の村長と村人でのBuri山の展望小屋建設作業

 日時、場所 2024年11月19日~12月18日 サバル地区Nyelitak村Buri山

資材運搬の翌日より、まとまった雨が続いたので、少し日にちが経ちましたが、天気が良い日に、柱の設置と床の基礎の設置を行いました。まだ、基礎の段階ですが、なんとなくですが予想図に近付いています。この後、数日間、また、雨でしたが、特に柱の基礎の部分は、ある程度、雨に晒されて、補強の必要が判明するかもしれませんので、様子を見るには良い期間です。

  

展望側へ向けての写真です。因みに、標高はそんなに高くにはありませんが、Buri山自体が、474mが山頂ですので、程よい位置だと思われますし、近くの森林の林冠(ここまで来るのに歩いてきた森)が、遠すぎず、一望もできるので、かなり恵まれた条件の環境です。

 

前回の写真で、スマホのGPSアプリから割り出された、GPSデータが、実際の場所と異なることと、標高はどのくらいあるかという質問を投げかけましたら、11月22日に、かなり暗雲の中、現場に行って頂き、GPSデータを取ってきてくれました。今回のは、他のデータと照らし合しても、ほぼ正確な位置と思われますが、標高に関しては、NASA1の衛星からのデータでは、93mでしたので、そのデータを採用します。

 

11月23日には、床面がほとんど完成出来ました。眺めが良いですね。

   

12月3日には、屋根も設置しました。

  

両脇には、腰掛ける椅子を作成しますが、この丸太は、倒木を利用して、最終的には、展望台前面に設置します。 

ハイキング道の入り口手前から見ると、こんな感じで見えます。

  

 

12月17日には、長椅子を両脇に、前方は、景色を妨げないように、丸椅子を設置してくれました

  

12月18日には、トタン屋根の後ろ側に、ニッパヤシで編んだ屋根を設置してくれました。これで、ほぼ完成です。

  

 

 

4. サバル地区Nyelitak村のBuri山の展望小屋の完成

日時、場所 2024年12月23日

雨季への移行期という事もあり、悪天候で、何度か作業を中断しましたが、何とか、完成いたしました。

 

手すりもしっかりと、また、少し張り出しを作ってくれましたので、10人位は載っても大丈夫な感じです。視察に行った日は、靄がかかっており、インドネシアとの国境に当たる山脈の頂きは、ぼんやりとでしたが、それでも、素晴らしい展望の眺めでした。

       

屋根は、トタン屋根ですが、後方部に、ヤシの葉で編んだ屋根を作ってくれて、少しだけ風流です。トタンの上に全部被せようと、ヤシはその必要な分を集めたようですが、虫がわきやすいので、割愛したそうです。柱となる木材は、ボルネオ島でも一番固く、耐久性に優れた、ボルネオ・テツボクを利用しましたが、前面部は、高床式となるため、20フィートほど必要ですが、そこまで長い木材がないため、写真のようなジョイントで長さを稼いだそうです。鉄のボルトに負けず、しっかりした木材です。このような場所は、シロアリが懸念材料ですが、このボルネオ・テツボクは、その香りが、シロアリ防虫の役目もあるとか。固いだけなく、そのような効能もあるのかと感心しました。

       

前面の中央の木がドリアンですが、街道沿いは沢山のドリアンが売られていましたが、この地域では、今年は不作のようですが、それでも、花が咲けば、いろんな鳥やオオコウモリが集まるそうですので、楽しみです。カササギの仲間の美しい鳴き声や、キツツキのドラミング、オオバンケンの遠吠えなど、大分陽の上がった10時頃でも、賑やかに聞こえて、同行してくれたAjis村長と、Ragai氏も聞きいっていました。

ここでキャンプすると楽しいだろうなと全員の意見でしたが、水源としての川まで少し距離があるので、水をここに引いてこれると、十分なスペースで、夜の音や、薄明の音、星空も綺麗な事は、容易に想像できます。

   

 

5. サバル地区Nyelitak村の村長と村人でのBuri山のハイキング道の看板や道案内の目印の作成予定図

展望小屋も完成しましたので、展望小屋のある中級者コースのハイキング道と、初級者コースのハイキング道の整備と、看板や道案内の目印の作成と設置をしていきます。

 

計画では、村人の使っていない木材を買取り、看板や目印の素材にし、彫り込んで文字を入れて、看板や目印を作成します。

特に、目印用の数を確認するために、森の中を歩いてみました。

  

展望台前の坂道のアプローチですが、多少、迂回したものの、やはり急斜面ですので、ロープなどを張って(村人はすいすい登りますが)、安全が確保できる必要があります。

  

 

この作業は、おいおい、時間を見つけて、看板や目印を、村で作ってもらい、でき次第、各場所に設置する予定ですが、1月後半位までに設置目標にしています。

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2024年 経団連自然環保護基金 「コミュニティ・フォレストのエコ・ツーリズム開発」 Nyelitak村のハイキング道の展望小屋の建設

期間:2024年1025日~12月20日

場所: Nyelitak 村Buri山

従事者: 1. Mr. Ajis 2. Mr. Ragai 3. Mr. Bill 4. Mr. Bronson  5. Mr. Desmond 

            6.  Mr. Baxter 7. Mr. Wilmat  8. Mr. Haikal  9. Mr. Selia  10. Mr. Spensor

NPO担当: 鍋嶋

 

 

 

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